“にっこり”は、栃木県農業試験場で育成された、栃木を代表する美味しい梨です。“新高”に“豊水”を交配して生まれた品種で、品種登録されたのは1996年。梨の中では新しい品種です。“にっこり”という可愛らしい品種名は、栃木県が誇る世界遺産「日光」と「梨」を合わせて名付けられました。
“幸水”や“豊水”は8月9月の気温が高い時期に収穫されますので、「梨といえば夏」というイメージを持っている方が多いかもしれませんが、梨の品種の中には秋が深まってから収穫される晩生と呼ばれる品種もあります。“にっこり”も晩生の梨ですので、秋の味覚が美味しい10月に収穫が始まります。
春先、果樹園では梨の可憐な白い花が一面に咲き誇りますが、当園で一番早く開花するのは“にっこり”や“新高”などの晩生の梨の花です。“幸水”などの早生の品種は、“にっこり”等に遅れて花が咲き始めます。“にっこり”は“幸水”よりも先に花が咲くのに、収穫期が1か月以上遅くなってしまうのは不思議ですね。“にっこり”に限らず、晩生の梨は花が咲いてから収穫するまでの生育期間が長いので、じっくりと成熟して大きな果実を実らせます。
特に“にっこり”の果実は非常に大玉で、大きいものは赤ちゃんの頭ほどの大きさになります。初めて見る方はビックリされるかもしれませんが、“にっこり”は果実が大きいほど糖度も高くなる傾向があるので、当園では果実がより大きくなるような栽培管理を心がけております。しっかりと摘果を行って一本の樹に成らせる果実の数を減らし、少ない果実を大切に育てた、大きくて甘い“にっこり”をどうぞお召し上がりください。
“にっこり”は、花粉親(父親)が“豊水”ですが、“豊水”のような酸味は無く、しっかりとした甘みが感じられます。大玉で甘く、“豊水”ゆずりのきめ細かな果肉と、豊かな果汁が魅力的です。また,肉質は軟らかめですので、硬めの梨が苦手な方でもお楽しみいただけます。
“にっこり”は早採りすると甘みが少なく、品質が劣ってしまいますので、よく熟して十分果実が色付いてから収穫することが重要です。年によって収穫が始まる時期は異なりますのでご要望いただいた時期にご用意できない場合もございますが、美味しい梨をお召し上がりいただくために、その年の“にっこり”の旬をお待ちくださいますようお願い申し上げます。